石﨑歯科医院流「歯ぎしり」について‼️
2026.08.10
石﨑歯科医院 お口の教科書
歯ぎしり・食いしばりについて
「歯ぎしり」は誰にでも起こる?知らないうちに歯へ力がかかっているかもしれません
「家族から、寝ているときに歯ぎしりをしていると言われた」
「朝起きると、顎が疲れている」
「歯がすり減ってきた」
「歯がしみるけれど、むし歯はないと言われた」
「最近、歯が欠けた」
このような経験はありませんか?
「歯ぎしり」という言葉から、夜中に
「ギリギリ、ギリギリ……」
と音を立てて歯をこすることを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、歯ぎしりにはいくつかのタイプがあり、音がしない「食いしばり」も歯に大きな力をかけることがあります。
石﨑歯科医院では、単純に「歯ぎしりがありますね」とお伝えするだけではなく、
「どんなタイプの力が、いつ、どのくらい歯にかかっているのか?」
そして、
「その力によって、歯や歯ぐき、顎にどんな変化が起こっているのか?」
を考えることを大切にしています。
そもそも「歯ぎしり」とは?
歯科では、歯ぎしりや食いしばりなどをまとめて**「ブラキシズム」**と呼びます。
現在の考え方では、ブラキシズムは必ずしも「病気」そのものというわけではありません。
健康な人にもみられる顎の筋肉の活動であり、問題になるかどうかは、その頻度や強さ、持続時間、そして歯や顎などにどのような影響が出ているかによって変わります。
つまり、
「歯ぎしりをしている=病気」
ではありません。
一方で、歯に過度な力が繰り返しかかることで、歯のすり減りや欠け、知覚過敏、詰め物・被せ物への負担、顎の筋肉の疲労などにつながることがあります。
そのため、歯ぎしりそのものを必要以上に怖がるのではなく、
「自分の場合は、歯や顎に問題を起こすほどの力になっていないか?」
を見ることが大切です。
歯ぎしりには、どんな種類があるのでしょうか?
患者さんに分かりやすく説明すると、大きく次の3つの動きがあります。
① グラインディング(Grinding)
上下の歯を横方向などにこすり合わせる、いわゆる
「ギリギリ」と音がする歯ぎしり
です。
長期間続くと、歯の表面がすり減ったり、歯が平らになったりすることがあります。
また、歯に非常に大きな力がかかるため、歯の欠けやひび、知覚過敏などにつながることもあります。
② クレンチング(Clenching)
上下の歯を強く噛みしめる、
「食いしばり」
です。
このタイプは、グラインディングのように大きな音が出ないため、本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。
しかし、音がしないから歯に負担が少ないとは限りません。
むしろ、長時間にわたって強い力で噛みしめていると、歯や歯周組織、顎の筋肉などに負担がかかることがあります。
③ タッピング(Tapping)
上下の歯を
「カチカチ、カチカチ」
と接触させるような動きです。
グラインディングやクレンチングほど長く続くものではなくても、睡眠中にはさまざまな顎の動きが起こることがあります。
睡眠中のブラキシズムには、グラインディングやクレンチングだけでなく、こうしたタッピングのような動きも含まれます。 (PubMed)
「歯ぎしり=ギリギリ音がする」ではありません
ここは、ぜひ知っておいていただきたいところです。
歯ぎしりという言葉から、
「音がしないから、自分は歯ぎしりをしていない」
と思っている方が少なくありません。
しかし、食いしばりは音が出ないことがあります。
そのため、
「家族から歯ぎしりを指摘されたことがない」
という方でも、実際には睡眠中に歯を接触させたり、顎の筋肉が強く活動したりしている場合があります。
寝ている間は、歯がずっと離れているわけではありません
普段、リラックスしているときは、上下の歯は基本的に軽く離れている状態が理想的です。
ところが睡眠中には、無意識に顎の筋肉が活動し、歯を接触させたり、噛みしめたり、歯をこすり合わせたりすることがあります。
ただし、
「ほとんどの人が一晩中強く食いしばっている」
という意味ではありません。
大切なのは、
睡眠中の顎の活動には個人差があり、強さや回数も人によって大きく違う
ということです。
その中には、歯や顎にほとんど問題を起こさない人もいれば、強い力が繰り返しかかることで歯や顎に負担が蓄積する人もいます。
日本人・アジア人は、どんな歯ぎしりが多いのでしょうか?
「日本人は食いしばりが多い」
「アジア人はグラインディングが多い」
など、さまざまな話を耳にすることがあります。
しかし、現時点では、
「アジア人はこのタイプが圧倒的に多い」
と単純に決めつけることはできません。
アジアの人々を対象とした研究では、睡眠時ブラキシズムは決して珍しいものではありませんが、研究方法や対象者によって結果にはかなり幅があります。 (PubMed Central (PMC))
また、日本で2026年に報告された多施設研究では、睡眠中のブラキシズムにも複数のパターンがあることが示されています。
つまり、
「日本人だからこのタイプ」
というより、
「同じ日本人でも、歯ぎしりの現れ方にはかなり個人差がある」
と考える方が正確です。 (PubMed)
石﨑歯科医院でも、単に「歯ぎしりがあります」という判断ではなく、患者さん一人ひとりの歯の状態や噛み合わせ、筋肉の状態などを見ながら考えていきます。
歯ぎしりは「ストレスだけ」が原因なのでしょうか?
以前は、
「歯ぎしり=ストレス」
と説明されることが多くありました。
もちろん、精神的な緊張やストレス、気分の変化などがブラキシズムと関連することはあります。
しかし、現在ではそれだけが原因とは考えられていません。
睡眠、覚醒反応、生活習慣、薬剤、飲酒・カフェインなど、さまざまな要因が関係する可能性があります。 (PubMed)
また、
「最近忙しいから歯ぎしりが増えた」
ということもあれば、
「特にストレスを感じていないのに、歯がすごくすり減っている」
という方もいます。
そのため、
「歯ぎしりがありますね。ストレスが原因です」
と一つの原因に決めつけることはできません。
歯ぎしり・食いしばりで、どんな症状が出るのでしょうか?
強い力が長期間かかると、次のような変化がみられることがあります。
- 歯がすり減る
- 歯の先端が平らになる
- 歯が欠ける
- 歯にひびが入る
- 歯がしみる
- 歯の根元がすり減る
- 詰め物や被せ物が欠ける・外れる
- 歯が噛んだときに痛む
- 歯に違和感がある
- 歯周組織に過度な力が加わる
- 顎の筋肉が疲れる
- 朝起きたときに顎がだるい
- こめかみや頬の筋肉が痛い
- 顎関節に違和感が出る
ただし、これらの症状があれば必ず歯ぎしりが原因というわけではありません。
むし歯や歯周病、歯のひび、噛み合わせ、顎関節の問題など、他の原因がないかを確認することも大切です。
「歯がしみる」ことと歯ぎしりは関係ありますか?
あります。
これは、先ほどの「知覚過敏」のページとも関係するところです。
歯ぎしりや食いしばりによって歯に強い力が繰り返しかかると、歯の表面や根元に負担がかかり、知覚過敏の症状につながることがあります。
また、歯の神経が刺激に敏感になっているように感じられるケースもあります。
ただし、
「歯がしみる=歯ぎしり」
ではありません。
まずは、
むし歯はないか?
歯周病はないか?
歯ぐきが下がっていないか?
歯の根が露出していないか?
歯にひびはないか?
などを確認することが大切です。
そのうえで、歯ぎしりや食いしばりが関係していないかを考えていきます。
歯ぎしりがある人は、すぐにマウスピースが必要?
必ずしもそうではありません。
ブラキシズムがあるからといって、全員に治療が必要なわけではありません。
重要なのは、
「歯ぎしりがあるか」ではなく、「歯ぎしりによって問題が起きているか」
です。
歯の強い摩耗や欠け、知覚過敏、詰め物・被せ物への負担、顎の痛みなどがあり、歯を守る必要がある場合には、睡眠時に使用するマウスピース(スプリント)が選択肢になることがあります。
ただし、マウスピースは「歯ぎしりそのものを完全になくす魔法の道具」ではありません。
目的の一つは、
「歯や顎への悪影響を減らし、歯を守ること」
です。
歯ぎしりがあるかもしれない方は、こんなところをチェック
次の項目に当てはまるものはありませんか?
- 朝起きると顎が疲れている
- 朝、頬やこめかみが痛い
- 家族から「歯ぎしりをしている」と言われる
- 歯が以前よりすり減っている
- 歯の先端が平らになってきた
- 歯が欠けた
- 歯がしみる
- 歯の根元が削れている
- 詰め物や被せ物がよく壊れる
- 舌の側面に歯の跡がついている
- 頬の内側に歯の跡がついている
- 日中も無意識に上下の歯を接触させている
- 「歯を離して」と言われることがある
いくつか当てはまる場合には、一度歯科医院で確認してもらうとよいでしょう。
日中の「食いしばり」にも注意しましょう
歯ぎしりというと、寝ている間のことばかり考えがちです。
しかし、起きている間にも無意識に上下の歯を接触させている方がいます。
パソコンやスマートフォンを見ているとき、
仕事に集中しているとき、
運転しているとき、
緊張しているとき、
知らないうちに歯を噛みしめていませんか?
本来、リラックスしているときには上下の歯は接触していないことが多いため、
「気づいたら歯を離す」
という習慣を身につけることも、歯や顎への負担を減らす一つの方法です。
歯ぎしりを「悪者」にしすぎないことも大切です
歯ぎしりがあると、
「歯ぎしりを止めなければ!」
と考えてしまう方がいらっしゃいます。
しかし、ブラキシズムは人間の顎に起こる自然な筋活動の一つでもあり、すべてを完全になくすことができるものではありません。
大切なのは、
歯ぎしりがあること自体を怖がるのではなく、歯や顎に問題を起こしていないかを確認すること。
そして、問題がある場合には、
「なぜ強い力がかかっているのか」
「どこに負担がかかっているのか」
「どうすれば歯を守れるのか」
を考えることです。
石﨑歯科医院では「歯ぎしりがあるか」だけではなく、「歯ぎしりによって何が起きているか」を診ます
歯ぎしりは、患者さん自身では気づきにくいことがあります。
そのため、私たちは診療の中で、
- 歯のすり減り
- 歯の欠けやひび
- 歯の根元の摩耗
- 知覚過敏
- 歯周組織の状態
- 詰め物・被せ物の状態
- 噛み合わせ
- 顎の筋肉の緊張
- 顎関節の状態
などを確認しながら、歯にかかっている「力」について考えます。
そして必要に応じて、歯を守るためのマウスピースなどをご提案します。
歯ぎしりは「音」だけでは分かりません
最後に、覚えておいていただきたいことがあります。
「歯ぎしりの音がしない=歯に力がかかっていない」
ということではありません。
ギリギリ音のするグラインディングだけではなく、音の出にくいクレンチング(食いしばり)もあります。
また、睡眠中の顎の活動には個人差があり、本人が自覚していないことも珍しくありません。
だからこそ、
歯がすり減っている。
歯が欠ける。
歯がしみる。
朝、顎が疲れている。
詰め物がよく壊れる。
といった変化があれば、
「歯ぎしりかな?」
と一度考えてみることが大切です。
石﨑歯科医院から
歯ぎしりは、決して「悪い癖だから、やめなさい」と簡単に言えるものではありません。
人間の身体には、睡眠中にもさまざまな顎の活動が起こります。
問題は、
その力が、あなたの歯や顎にとって強すぎるのかどうか。
石﨑歯科医院では、
「歯ぎしりがありますね」
だけで終わらず、
「その歯ぎしりによって、今のお口に何が起こっているのか」
を患者さんと一緒に確認することを大切にしています。
歯がしみる。
歯が欠ける。
歯がすり減ってきた。
朝、顎が疲れている。
詰め物や被せ物がよく壊れる。
そんな変化があれば、一度ご相談ください。
歯を守るためには、むし歯や歯周病だけでなく、「歯にかかる力」を知ることも大切です。
石﨑歯科医院では、お口全体の状態を確認しながら、患者さんの大切な歯をできるだけ長く守るための方法を一緒に考えていきます。
