私が求める「咬合」とは㊙️知りたい人だけ本気で読んで
- トップページ
- 石﨑先生が本音で解説
- 私が求める「咬合」とは㊙️知りたい人だけ本気で読んで
2026.08.14
石﨑歯科医院 お口の教科書
噛み合わせって、そもそも何?
「噛み合わせが悪いと言われました。」
「噛み合わせを治したほうがいいですか?」
歯科医院ではよく聞く言葉ですが、
そもそも「噛み合わせ」とは何なのでしょうか?
単純に、
「上の歯と下の歯がきれいに当たっていれば良い」
という話ではありません。
石﨑歯科医院では、噛み合わせを考えるときに、
「歯」だけではなく、「顎の位置(顎位)」まで考えることが大切
だと考えています。
噛み合わせ=「歯の当たり方」だけではありません
普段、私たちが食事をするときには、
上の歯と下の歯が接触します。
そして、顎を動かすことで食べ物を細かくします。
このとき、
・歯
・顎の骨
・顎関節
・咀嚼筋
・舌
・神経
など、さまざまなものが協調して働いています。
つまり、
噛み合わせは「歯だけの問題」ではありません。
顎の位置や顎の動きも含めて考える必要があります。
「咬頭嵌合位(こうとうかんごうい)」って何?
少し専門的な言葉になりますが、
咬頭嵌合位
という言葉があります。
簡単にいうと、
上の歯と下の歯を自然に噛み合わせたときに、上下の歯が最も安定して接触する位置
のことです。
普段の歯科治療では、この「咬頭嵌合位」を一つの重要な基準として治療を行うことが多くあります。
例えば、
「虫歯を治療して詰め物をする」
「被せ物を作る」
といった治療でも、元の噛み合わせを参考にして歯の形や高さを決めていきます。
では、元の噛み合わせがなくなっていたら?
ここからが、とても重要な話です。
例えば、
・歯を何本も失っている
・奥歯が長期間ない
・歯が大きくすり減っている
・歯が大きく動いている
・被せ物や詰め物が何度も壊れる
・噛み合わせが大きく崩れている
このような状態になると、
もともとの「安定した噛み合わせ」が分からなくなっている
ことがあります。
これを、
「咬合崩壊」
と呼びます。
咬合崩壊すると、「元の位置に戻す」ことが難しくなります
普通の治療では、
「今ある噛み合わせを基準にして治療する」
ことができます。
ところが、咬合崩壊してしまうと、
「そもそも、どこで噛ませればいいの?」
という問題が出てきます。
失われた歯を単純に入れればいい。
低くなった歯を高くすればいい。
という話ではありません。
そこで大切になるのが「顎位」です
顎位とは簡単にいうと、
「下顎が上顎に対して、どの位置にあるのか」
という考え方です。
ここを考えずに、
「歯が当たるところだけを合わせる」
ことを繰り返してしまうと、場合によっては安定した噛み合わせを作ることが難しくなります。
だからこそ、咬合崩壊が大きい患者さんでは、
「どこで噛ませるか」だけではなく、
「下顎をどの位置に置くのか」
というところから考える必要があります。
「顎位を探す」ということ
では、
「正しい顎位は一つだけ存在するのでしょうか?」
実際には、そんなに単純ではありません。
顎の位置は、
・顎関節
・筋肉
・靭帯
・歯の接触
・舌
・頭の位置
・身体の状態
など、さまざまな要素の影響を受けます。
そのため、
「この位置が絶対に正しい」
と簡単に決められるものではありません。
患者さんの顎関節や筋肉、歯の状態などを確認しながら、
その人にとって安定し、無理のない顎位を探していく
という考え方が重要になります。
咬合崩壊した患者さんの治療は、簡単ではありません
咬合崩壊が起こっている場合、
「歯がないから歯を入れましょう」
だけでは終わらないことがあります。
必要に応じて、
・どの位置で噛むのか
・どの高さで噛むのか
・上下の歯をどのように接触させるのか
・左右のバランスはどうするのか
・顎関節に無理がないか
・咀嚼筋に無理な力がかかっていないか
などを考えながら治療を進める必要があります。
場合によっては、
失われた噛み合わせを一から作り直すような治療
になることもあります。
「歯を治す」だけではなく「噛める環境を作る」
例えば、奥歯を何本も失っている患者さんに、
「とりあえず歯を入れましょう」
と治療を進めるのではなく、
「この患者さんは、どこで噛むのが安定するのだろう?」
というところから考える。
これが、咬合治療の難しいところでもあり、面白いところでもあります。
すべての患者さんに大掛かりな咬合治療が必要なわけではありません
ここも大切なところです。
「噛み合わせ」という言葉を聞くと、
「私も大掛かりな治療をしないといけないの?」
と心配になる方もいると思います。
もちろん、
すべての患者さんに顎位を一から探して、噛み合わせを再構成するような治療が必要なわけではありません。
虫歯の治療や小さな詰め物などでは、現在の噛み合わせを基準に治療できることがほとんどです。
大切なのは、
「その患者さんに、どこまで咬合治療が必要なのかを見極めること」
です。
では、どんな人に咬合を詳しく考える必要があるのでしょうか?
例えば、
・歯を何本も失っている
・奥歯がなくなっている
・歯が大きくすり減っている
・噛み合わせが大きく変化している
・歯が移動している
・被せ物が何度も壊れる
・歯が欠けることを繰り返している
・強い食いしばりがある
・顎関節に症状がある
・長期間にわたって噛みにくさを感じている
このような場合には、
単純に一本の歯だけを治すのではなく、口全体の噛み合わせを考える必要がある場合があります。
咬合崩壊は「放っておけば元に戻る」ものではありません
歯を失った。
歯が傾いた。
奥歯がなくなった。
歯がすり減った。
その状態を長期間放置すると、周囲の歯も少しずつ移動したり、噛み合わせが変化したりすることがあります。
その結果、
「最初は1本の歯の問題だったのに、気がついたら口全体の噛み合わせが変わっていた」
ということもあります。
だからこそ、
噛みにくい、歯が動いてきた、歯が何度も壊れる
などの変化があれば、早めに原因を確認することが大切です。
咬合崩壊を起こしている場合は、時間をかけて治療する価値があります
咬合崩壊が進んでいる患者さんの治療は、
正直に言って、
簡単ではありません。
治療期間も長くなることがあります。
患者さんにも、
「大変な治療になるかもしれません」
とお伝えしなければならないことがあります。
しかし、
一度しっかり噛み合わせを考えて治療することで、その後の歯を守ることにつながる場合があります。
だからこそ、必要な患者さんには、
「大変だからやめましょう」
ではなく、
「大変だからこそ、今のうちにしっかり治しておきましょう」
とお話しすることがあります。
噛み合わせは「完成したら終わり」ではありません
治療によって噛み合わせを整えたとしても、
歯ぎしりや食いしばり、
歯周病、
新たな虫歯、
歯の喪失、
加齢による変化
などによって、噛み合わせは少しずつ変化します。
そのため、
噛み合わせを作ることと、噛み合わせを守ることはセット
だと考えています。
石﨑歯科医院から
私たちは普段、
「噛み合わせがいい」
「噛み合わせが悪い」
という言葉を簡単に使っています。
でも、本当はとても奥深いものです。
単純に、
「歯と歯がきれいに当たっている」
だけではありません。
歯があり、
歯を支える骨があり、
顎関節があり、
筋肉があり、
そのすべてが関係して、
「噛む」という動作が成立しています。
特に、歯を何本も失ってしまったり、歯が大きくすり減ったりして咬合崩壊を起こしている場合には、
「今ある歯を基準にするだけではなく、顎位から考える」
ことが必要になる場合があります。
だから石﨑歯科医院では、
「どこで噛ませるか」だけではなく、
「その人にとって、どの顎位で噛むことが安定するのか」
という視点を大切にしています。
もちろん、すべての患者さんに大掛かりな咬合治療が必要なわけではありません。
必要な患者さんに、必要なだけの治療を行う。
それが大切です。
そして、もし咬合崩壊が進んでしまっているのであれば、
大変だからこそ、きちんと時間をかけて治療する価値がある。
私たちはそう考えています。
「噛める」ということは、当たり前のようで、実はとても複雑なこと。
そして、その「噛める」という機能をできるだけ長く守っていくことも、歯科医院の大切な役割の一つだと考えています。