👦成長シリーズ❾ 結局どの装置がよい?🫵🏼
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2026.08.19
プレオルソ・床矯正・ワイヤー矯正
―治療方法は「どれが一番」ではなく、「何を治したいか」で考える―
「結局、どの矯正方法が一番いいの?」
小児矯正について調べていると、いろいろな治療方法が出てきます。
「プレオルソ」
「床矯正」
「ワイヤー矯正」
「マウスピース矯正」……。
それぞれに特徴があり、インターネットにはたくさんの情報があります。そのため、「結局、どれを選べばいいの?」と迷ってしまうのも当然です。しかし、小児矯正では、
「どの装置が一番優れているか」
から考えるのではありません。まず考えるのは、
「このお子さまのお口の、何を改善したいのか?」
です。ここを間違えないことが、とても大切です。
1.矯正装置は「道具」です
少し分かりやすく考えてみましょう。
家を建てるとき、
「金づちとドライバー、どちらが優れていますか?」
と聞かれても、何を作るのかによって答えは変わります。矯正治療も同じです。装置はあくまで、
治療を行うための道具の一つ。
大切なのは、
「その道具を使って、何を目指すのか」です。だから、
「プレオルソだから良い」
「床矯正だから良い」
「ワイヤーだから確実」
と、装置だけで治療の良し悪しを決めることはできません。
2.プレオルソとは?
プレオルソは、主に成長期のお子さまに使用される、
取り外し式のマウスピース型矯正装置
の一つです。
歯を直接一本ずつ動かすというより、
お口の周囲の筋肉や舌、唇などの機能にも着目しながら、歯列や噛み合わせを整えていく
という考え方で使用されます。特に、
- 口呼吸
- お口が開いている
- 舌の位置
- 前歯の噛み合わせ
- 出っ歯など
さまざまなケースで検討されることがあります。
ただし、
「プレオルソを入れれば、どんな歯並びでも治る」
というものではありません。
お子さまの年齢、歯並び、骨格、成長、お口の機能などを確認したうえで、適応を考える必要があります。
3.プレオルソは「使えること」が大切
プレオルソのような取り外し式の装置では、
お子さま自身が決められた時間に使用できるか
ということも重要です。
装置を作っただけでは、治療は進みません。
毎日の生活の中で使用する必要があります。
そのため、
「本人が嫌がらないか」
「きちんと装着できるか」
「保護者の方が管理できるか」
という点も、治療方法を選ぶうえで考える必要があります。
4.床矯正とは?
床矯正では、取り外し可能な装置を使用し、
歯列の幅やスペースなどを考えながら、歯を並べるための環境を整えていく
方法があります。
装置の構造や使用方法にはさまざまな種類があります。
お子さまの成長や歯の生え変わりを見ながら使用することもあります。
ただし、ここでも、
「床矯正をすれば必ず歯を抜かずに済む」
というような単純な話ではありません。
歯の大きさ。
顎の大きさ。
歯列の形。
骨格。
生え変わり。
これらを確認したうえで、適応を考える必要があります。
5.床矯正も「装置を入れるだけ」ではありません
取り外し式の装置には、「きちんと使えるか」という問題があります。例えば、
「学校では使いたくない」
「食事のときに外したまま戻し忘れる」
「装置を入れるのが嫌」など、お子さまによってさまざまです。
そのため、装置の特徴だけでなく、生活の中で無理なく続けられるかという視点も大切になります。
6.ワイヤー矯正とは?
ワイヤー矯正は、歯にブラケットなどの装置を取り付け、ワイヤーなどの力を利用して歯を少しずつ動かしていく方法です。
歯を一本ずつ細かくコントロールしやすいことが特徴の一つです。
そのため、
より細かな歯の位置の調整が必要なケース
などで重要な治療方法になります。
一方で、装置を取り外すことは基本的にできないため、歯磨きや食事などの管理も大切になります。
7.ワイヤー矯正=大人の治療、ではありません
「ワイヤー矯正は大人になってから」
と思われる方もいます。
しかし、ワイヤー矯正は子どもの矯正でも使用されます。
ただし、
どの年齢で、どの段階から、どのように使用するのか
は、お子さまのお口の状態によって変わります。
場合によっては、成長期の治療と、その後の仕上げの治療を組み合わせて考えることもあります。
8.「取り外せる装置」と「取り外せない装置」
小児矯正を考えるとき、分かりやすい違いの一つが、
取り外せるかどうか
です。ただし、「取り外せる=簡単」ということではありません。
逆に、「固定式=大変」と一概に言うこともできません。
それぞれにメリットと注意点があります。
9.「マウスピースなら痛くない」は本当?
これもよくある質問です。
「マウスピース矯正なら痛くないですよね?」
確かに、ワイヤー矯正とは違う特徴があります。
しかし、矯正治療である以上、歯や顎に力が加わることで違和感や痛みが出ることはあります。
また、装置の種類によっても違います。
「マウスピースだから絶対に痛くない」
と考えるのではなく、
「どのような力を、どこに、どのように加える治療なのか」
を見ることが大切です。
10.「歯を抜かない矯正」にも注意が必要です
「できれば子どもの歯は抜きたくない」
これは多くの保護者の方が思われることです。
当然だと思います。
しかし、
「絶対に抜歯しない」
ことだけを治療の目標にしてしまうのも注意が必要です。
歯を抜く必要があるかどうかは、
- 歯の大きさ
- 顎の大きさ
- 歯列
- 骨格
- 噛み合わせ
- 横顔などのバランス
- 成長
などを総合して判断するものです。
「抜かないこと」そのものが目的ではありません。
そのお子さまにとって、長期的に安定した噛み合わせを作れるか。
そこを考える必要があります。
11.「装置」より先に「診断」
ここが第9章で一番伝えたいところです。
例えば、
「プレオルソをやりたいです」
と来院されたとしても、
最初から装置を決めるわけではありません。
まず、今のお口がどうなっているのかを確認します。
歯の生え変わり。
歯並び。
噛み合わせ。
歯のスペース。
顎の成長。
お口の機能。
必要に応じてレントゲンなども含めて確認し、
「何を治療する必要があるのか」
を考えます。
その結果として、
「この方法が合いそう」
と治療方法を選んでいきます。
12.同じ「ガタガタ」でも、治療方法は同じではありません
例えば、
「前歯がガタガタしています」
というお子さまが二人いたとします。
一人は、
歯が大きく、スペースが不足している。
もう一人は、
歯の生え変わりの途中で、一時的に重なっている。
また別のお子さまでは、
歯列の幅や噛み合わせなど、別の要素が関係している。
この3人に、
同じ装置を使えばいいのでしょうか?
答えは、必ずしも「はい」ではありません。
だからこそ、
「歯並びの名前」ではなく、
「お口の状態」を見る。
これが大切なのです。
13.お子さまの「協力度」も治療方法の一部
小児矯正では、医学的な条件だけではなく、
お子さまが治療に参加できるか
も大切です。
例えば、
取り外し式の装置が向いていても、
毎日使うことが難しければ、治療計画を考え直す必要があります。
反対に、
本人がきちんと管理できるのであれば、取り外し式の装置が選択肢になることもあります。
つまり、
「装置が優秀だから治療が成功する」
のではなく、
お子さまの状態と治療方法がうまく合うこと
が重要です。
14.治療期間も「装置だけ」では決まりません
「この装置なら何年ですか?」
という質問もよくあります。
しかし、治療期間は、
- 歯並び
- 骨格
- 成長
- 生え変わり
- 治療への協力
- 使用時間
- 治療の目的
などによって変わります。
そのため、
「この装置なら○年」
と単純に決められるものではありません。
治療を始める前に、
「何を目標にするのか」
「どこまで改善を目指すのか」
を確認しておくことが大切です。
15.治療方法を選ぶときの「3つの質問」
小児矯正を検討するとき、保護者の方にはぜひ、
①「何を治すための治療ですか?」
と聞いていただきたいと思います。
次に、
②「この方法を選ぶ理由は何ですか?」
そして、
③「治療をしなかった場合、どうなる可能性がありますか?」
この3つです。
この3つが分かれば、
「なんとなく有名だから」
「ネットで評判が良かったから」
という理由だけで装置を選ぶ必要がなくなります。
16.「治療しない」という選択もあります
ここまで矯正装置について説明しましたが、
実はこれも大切な選択肢です。
診察の結果、
「現時点では治療の必要性は高くない」
「成長を見ながら経過観察でよい」
という場合もあります。
矯正装置を使わないからといって、
「何もしていない」
わけではありません。
定期的に確認しながら、
必要なタイミングを逃さない。
それも大切な咬合発育の管理です。
石﨑歯科医院の考え方
小児矯正では、
「どの装置を使うか」
より先に、
「この子のお口は、今どうなっているのか」
を見ることを大切にしています。
そして、
「何を改善したいのか」
を明確にします。
そのうえで、
プレオルソなのか。
床矯正なのか。
ワイヤー矯正なのか。
その他の方法なのか。
あるいは、
今は何もしないのか。
そのお子さまに合った方法を考えます。
第9章のまとめ
小児矯正の治療方法を選ぶときは、
① 装置はあくまで「治療の道具」
② プレオルソにも適応がある
③ 床矯正にも適応がある
④ ワイヤー矯正にも重要な役割がある
⑤ 「どの装置が一番」ではなく「何を治すのか」が大切
⑥ お子さま自身が続けられるかも重要
⑦ 治療しない・経過を見るという選択肢もある
そして、
「装置を選ぶ」のではなく、
「治療の目的に合わせて装置を選ぶ」。
これが、小児矯正を考えるうえで大切な考え方です。